寛解に向かう明日

生き残れ!統失サバイバーかなえの日記

石段

大きくて高い石段がある。

皆、石段を登っていく。軽やかに駆け登る者、やっとの思いで登る者、誰かと肩を並べて登る者、いろんな人達が石段を登っていく。登ることはやめない。ひたすらに上を目指して登っていく。

時折、転げ落ちる者がいる。それは石段を登るのを諦めた者だ。私たちは転がり落ちる者を見ながら、それでも自分は石段を登っていくのだ。上に何があるか知らなくとも。

わたしは、立ち止まり見下ろす。まだここまでしか登っていないのか。それとも、もうここまで登ってきたのか。

わたしは石段に座り込む。登っていくほどの力はなくて、かと言って諦め転げ落ちるほどの覚悟もなくて。ただ、ただ、登っていく人達の邪魔にならぬように石段の隅で。

1人座り込む。わたしはどうしたらいいのだろう。このままでいいのだろうか。石段は冷たい。